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「製材所にはおもろいもんがころがってる」建築家の奥野さんは目を細める。
一本の柱を作るためには、捨てられる部分がたくさんある。柱・梁以外が売れれば、製材所は助かる。結果的に木材の値段が下げられるのではないか。今まで売れなかった部分も活用して商品化していく、そんな知恵を建築家の立場から出して行きたいという。
吉田邸の外構に使われている、柱を取った後の「木端(コバ)」もその一つだ。同じ木端でも、製造工程で樹皮を手作業でむいたもの、機械でむいたものそれぞれの表情の違いで使う場所を変えている。
「最初は塀もなかった」吉田邸に、奥野さんのアイデアと、阪口さんの協力と、大工の井上さんの手作業で立派で個性的な板壁が出来上がった。
こうした「バージョンアップ」は、この家をつくったチームによって今も続いている。竣工二年後には、駐車場に木製のゲートがついた。三年目の今年は中庭のデッキに桧のテーブルが出来上がった。
吉田さんは言う。「建てる時の予算には限りがあるけれど、生きていくうちには、またお金を稼いで、後からやることができる。」
奥野さんは、「家をつくることは、ライフスタイルを考え直すチャンス。それに従って、お金をかける所と、そうでない所のメリハリを作る。」さらに、「今やらなあかんことと、後でもできること」の整理も大事だと言う。
CM方式分離発注が作り出した、結束の固いチームによって、吉田邸は今なお進化し続けている。吉田さんは、今夜もリビングで「中庭デッキの上に出る月を見て、にんまりしている(奥様談)」だろうか。
(写真・文 日本の木のいえ情報ナビ担当プロデューサー 玉井光則)