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■独特の里山林業の伝統
東京駅から特急で1時間。九十九里浜にほど近い千葉県の東部。丘のような台地にスギ林が広がる地域がある。長い歴史を持つ「山武杉(さんぶすぎ)」の産地である。
杉林が田んぼの周りに広がる
枝が自然に落ちやすくまっすぐに伸びるのが特徴
江戸時代中期から「山武林業」と呼ばれるスギを挿し木し、幼齢木をマツで保護しながら育てる独特の林業が発達してきた。マツは燃料として使われ、スギは建材の他、上総戸(かずさど)と呼ばれる建具として江戸にも出荷されていた。また、九十九里浜のイワシ漁の船にも使われ、良材として知られていた。
スギ林は比較的平坦で、台地の間に深く入り組む谷に開かれた田畑を囲むように広がっている。人家にも近く、人々の生活と密接に結びついた里山となっている。
しかし今では、他の地域同様、木材の価格低下により、山に人の手が入りにくくなり、間伐などの育林が行われない山が増えた。スギの根元付近が大きくえぐれてしまう「溝腐れ病」も深刻だ。挿し木によるクローンで、同じ病気にかかりやすいこととともに、病気にかかった木を伐採しないことが病気蔓延の原因とも言われている。
戦後、千葉県全体に山武杉が植えられたが、発祥の地であるここでは、地元の木を「ジボク(地木)」と呼び、珍重してきた。




