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■まちに森をつくる
なぜ、遠く離れた高知の木で家を建てるのか、筆者が当初感じた疑問は、高知の山を見た瞬間に消え去った。
「売るほどある」と現地の人は笑うが、延々と続く山を前にして、そこに成長する木の量を思うと、思わず身震いするほどだった。
木を植え育てた人の思い、手入れをして守らなければならない環境のこと、刻一刻と成長する木々、いろいろな事が頭を駆け巡る。ふと振り返ると、遠くに太平洋が光っていたが、人々の暮らす平野はあまりにも小さく見えた。
■続く内外需要促進の努力
「今やらなければ手遅れになる」ドライウッド土佐会の大原代表理事の言葉どおり、間伐も主伐も含めて、伐採・利用を待つ木が年々増える一方で、手入れが行き届かず荒れていく森が四国全域の人々の生活に影響を及ぼしつつある。
県内の住宅向けの需要促進の努力は続けられ、木材を利用した公共建築物も急速に増えて行くと思われるが、都市部住宅需要に向けての地産外「商」の手を緩めるわけにはいかないだろう。遠距離輸送で発生するCO2の問題も、大原さんはじめ高知のメンバーの環境問題への並々ならぬ配慮を見れば、流通方法の工夫などでさらなる改善が行われるに違いない。
■欠かせぬ産地訪問と相互理解
「街」の側から言えば、今まで知られていなかった「土佐材」の提案は、消費者にとっての選択肢が増えるという意味で歓迎すべきではないだろうか。もちろん全ての家が土佐材になる訳ではないが、都市部の市場規模を考えれば、ごく一部でも、産地にとっては大きな力となるに違いない。
ただ、品質の良い材料が他より安く手に入るという見方では、産地間の価格競争をひきおこし、結局山に資金が帰らないといった事になりかねない。そういう意味でも、土佐材での家づくりのプロセスに組みこまれている、建て主や建築事業者の産地訪問は、単なる家づくりの過程でのセレモニー以上の役割を持つ。現地訪問による相互理解こそ、産地・建て主・事業者三者が納得できる価格での取引を支えているのではなかろうか。
家づくりにかかる費用のうち、木材の費用は1~2割と言われている。これから家をつくる方は、全ての要素でコストダウンを追求するだけでなく、費用の配分を上手く考えて、納得できる材料を使われてはいかがだろう。都会に建てるからこそ、素材にこだわりたい。土佐材は、そんな家づくりの可能性を拡げてくれたのではないだろうか。
(写真・文 日本の木のいえ情報ナビ 編集長 玉井 光則)
(1・4 ページ写真 提供:小野田工務店 写真:赤荻貴士)